プロフィール
【陶芸】 夢野頓坊農場窯所属 新谷 健   神奈川県横須賀市

<工房の活動、コンセプトについて>
 『夢野頓坊農場窯は、キャベツ畑にかこまれた三浦市の山の中にあります。「穴窯」という奈良時代から続く原始的な、茶筒を寝かしたような形態の窯で、松の薪を5〜6昼夜焚き続けます。作品は、全て手轆轤により作られています。普段は、畑を耕し、種を播き、草を刈り、育てたものを収穫し、仲間で分け合っています。一年のほとんどを小さな畑の手入れで過ごし、あとは薪割り。そして、年1〜2回の窯焚きの前に作陶をします。それで、「農場窯」といいます。都会では、煙突から煙と炎を出しながら窯を焚くことなど、とても出来なくなりました。私達は、今では貴重となったこのような手仕事の世界を、次の世代にも伝えていきたいと考えています。』

<作品について>
 今回の作品は、「焼締め」という技法のものと、「釉薬」をかけた「釉もの」です。
通常の焼き物は「釉もの」であり、土を成形し、自然乾燥の後、一度低火度で「素焼き」という焼成を行い、「釉薬」をかけた後、さらに、高火度による「本焼き」という焼成を行うことにより、出来上がります。器体の表面は、釉薬が溶けてツルリとしています。
 一方、「焼締め」は、土を成形し、これを良く自然乾燥させただけの「生」な状態のものを窯に詰め、時間をかけてじわりじわりと焼成し続け、最終的に、数日間かけて1250℃から1300℃まで上げていきます。文字どおり、「生」の土を焼き締めていく技法であります。よって、器体の表面は、土が変化した色であり、ざらついているものが多くなります。薪窯では、くべた薪が炎となり、灰となり、器体にふりかかり、その部分は、灰が溶けて(「自然釉」といいます)器の表面にガラス状に流れ、焼物の景色となります。まさに、自然の成せる技であります。茶筒を寝かしたような形態の「穴窯」の構造から、窯の中は、炎が煙道に向かい一直線に伸びていき、器体にぶつかり、土の表面に様々な変化をもたらします。これが「窯変」と呼ばれるものです。ある人は、「薪窯の中は、マグマが溶け出すような造山活動の場だ」と表現しました。薪窯でしか出来得ない、深みのあるダイナミックな味わいと言えるのではないでしょうか。

 今回は、木工の高野勝文氏作の皿立てとセットでご案内させていただきます。皆様のご批評をいただければ幸いです。


●作品紹介
   
  
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